昨今の”選択”について

この国のコロナ感染者数は今現在過去最悪で、この街の感染者数も急に千人の大台に近づきつつある。

夫と私は幸いにもワクチン2回接種済みだが、子どもたちはまだふたりとも12歳未満なので未接種である。

となると、必然的にとれる手段は限られてきて、この冬休みはステイホーム。

幸いレジデンス内に子どもが外で遊ぶ場所もたっぷりあるので、ステイ・インサイド・レジデンス。

 

私にとっては、この状況下、ステイ・インサイド・レジデンス一択だったのだが、フェイスブックを見てみると、他にも選択肢はありそうである。

夏以前のような厳しい移動制限、検疫規則などがないため、ご夫婦で飛行機に乗って国内リゾート、またベトナムで唯一雪が見れるという山へドライブ、など結構アクティブに動いているグループもあるらしい。

 

どうせ冬休み明けてもオンラインラーニングだろうから、誰かが旅行することによる感染リスクなんて考えなくてよさそうでレスストレス。

ただ純粋に「いいな~」という気持ちがむくむく湧いてきてしまうのも事実で、私自身の精神的修行が足りないことを身につまされて途端に情けなくなってしまうことだけが気になっている。

 

私はもともと物欲なんぞより、旅欲なるものが強くて、旅行が大好きなのだ。

国内でも、滅多に行く機会のない海外なら尚更。

特に、目的地に世界史で習った遺跡や建造物があるなら最高。

子どもができてからは、純粋にゆっくりするためのリゾート旅行の仕方も気に入って、私にとって国外にいるこのチャンスは、まさに”旅行のチャンス”そのものなのである。

 

そんなわけで、この状況下で勇気を出して(?)旅行に行っている様子を見たり聞いたりすると、「え~行けるなら私も行きたい」という子どものような気持ちが湧いてくるのだ。

 

だからといって、いざ計画したりするまでには至らないのだから、私の価値基準では旅行より優先されるものがあるということ。

それはたぶん家族の、特に子どもたちの健康であり、危険性が少なくともそれを侵すような真似は避けたい、という強い希望だ。

もともと石橋を叩きまくる性格でもあり、何かの決断につけて最悪の事態を想定する。

となると、この状況下、どうやって旅行の計画など私に立てることができようか!!??

 

それがわかっているので、いちいち「いいな~」などと思う気持ちを抱くのすら面倒くさく、できれば何の心も動かされたくないのだが、やはりまだ「いいな~」と思うのを止められない。

それでも以前より自分の決断に理由があるからか、自分の価値基準を把握しているからか、「人が何を選択しようと。私はこちらを選択する」という、何かどっしり自分のなかで動かないものを感じている。

以前よりは周りの選択に自分の選択が影響されない、自負がある。

 

この感覚はここ数年でやっと感じられるようになってきたものだろうか。

自分の決断に自信というか、揺るぎないものを感じることができる。

「私はこうだ」「私はこういうふうに考える人間だ」という自分自身への理解。

決めつけも、頑固になるもの良くないが、何が正しい選択なのか、例えばワクチンを打つのか、帰国するのか、子どもを学校に行かせるのか、誰も何が正解だなんて自信を持って断言できない現在、自分の価値基準とそれによる判断に責任を持つしかできることはない。

誰もが最善と思える選択をとっている。

旅行に行く、のもそのひとつ。

行かない、のもそのひとつ。