ポジティブ心理学

2020年の夏にセリグマン博士の本を何冊か読んだ。

息子の超ネガティブシンキングを心配して、どうにか認知を変えることができないかを模索していて、その過程でたどり着いたのだ。

 

もともと認知行動療法を子どもにアレンジしたものを探していて、なさそうなら自分でアレンジしようと考えていた。

 

セリグマン博士の名前は学部生のころから知っていた。

でもその名前は”学習性無力感”という単語とセットで覚えており、他の功績についてはまったく知らなかった。

こんなにも素晴らしい研究と成果を挙げている分野について、なぜ講義がなかったのだろう。

アドラー(個人的に好みではないが)も、今これほどポピュラーであるのにほとんど習った記憶はない。

 

TED Talkが先だったか、Learned Optimismという本を読んだのが先だったかは覚えていないが、2020年の夏はほとんどセリグマンの理論と方法を学ぶことに費やしたと言っても過言ではないだろう。

 

Learned Optimismでポジティブ心理学の基礎を学び、そのあとそれを子ども向けにアレンジした方法をまとめたThe Optimistic Childという本を読んだ。

英語の勉強も兼ねていたので原著で読んだが、他のセリグマン本を日本語訳で読んだときに、本当にわかりづらく、それがきっと翻訳のせいだろうと感じられたので、原著で読んでよかったと思う。

 

両作とも夢中になって読んだ。

ちょこちょこ入るエピソードで専門書感は薄れていて、よく言えば心理学専攻してない人にも読みやすいのかもしれないと思う。

もともと一般向けに書かれたものだろう。

ただ、専門用語が随所に入ってくるので、そういった意味では日本語訳のほうがまだ平易かもしれない。

 

セリグマンの提唱したポジティブ心理学は、鬱などの精神疾患がない、いわゆる一般の人を対象にしているところが、これまでの心理学と一線を画している。

確かに、それまでの心理学は”治す”ことに焦点を当てたものだった。

なんとか普通の、一般の状態に戻すこと。

 

ポジティブ心理学の場合は、一般の人が鬱状態にならないように”予防”するための研究であり学問である。

方法論としては、既存の、私の大好きな認知行動療法が元になってるのだが、鬱になりやすい認知を変えることで鬱予備軍の将来の鬱罹患率を下げることができる。

一旦その認知のルートを作って獲得してしまえば、それは一生その人が使える財産になるのだ。

 

これはまさに私が息子に与えたいと思っていたものだった。

目の前が開けた気がした。

 

子ども向けに書かれたThe Optimistic Childの教材をまとめ、息子と時間を作って一緒に進めた。

教材自体、ポジティブ心理学のセンターにメールすれば届くと巻末に記載されていたのでメールを送ってみたのだが、どうも今はそのメールアドレスが機能してないようで、何度送ってもエラーがでてしまったのだ。

 

息子はこの方法は気に入ったようで、一通りレクチャーを終えた今は、自分で実生活で運用する練習をする段階に入っている。

ただ先生役を親がしてしまう弊害がここに出て、ついサボってしまうのだ、お互いに。

こっちもチェックを怠るし、向こうも復習をサボる。

 

戒めのためにここに書き残すことで、これからもっと意識して実生活で完璧に適用させることを目指したい。